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ミムが自由気ままに更新するブログ

Kissing the Christmas killer

雪がしんしんと降り積もる中、ふたりの男と女は小さな小屋でクリスマス・イヴを迎えていた。
暖炉の傍のソファで、ふたりは寄り添って火を眺めた。
いくつかのランプと、暖炉の光で、ふたりのシルエットは揺れている。
温かいココアを飲みながら、ふたりはこの1年の出来事を楽しそうに語り合った。
もうすぐクリスマス・イヴからクリスマスにかわろうとする、ふとした瞬間の沈黙。
ふたりは暖炉の火で反射する瞳で見つめ合うと、彼女は話し始めた。

「私ね、生まれる前に神様と約束をしたの。
     “私の心 体 命 全てはあなたのもの。
 あなたの創造する全てのために、私は一生あなたのもの”と」
屋根に降り積もった雪がバサッと音を立てて落ちると同時に、彼女の目に涙が浮きはじめた。
「・・・・・・でも、私がこの世に生まれて、あなたに出会ったその瞬間、その誓いは破られたわ。
 ・・・・・・きっと今夜、聖なる夜にサンタが雪に隠れて、私を殺しに来るの。
 神様の約束を破った私は、サンタに殺される」
「・・・・・・!」
彼は肩を震わせて動揺したが、彼女は続けて請い願った。
「だからその前に・・・・・・サンタがやってくる前に、一度でいいから、キスをして・・・・・・」
涙をぽろぽろと流しながら、笑顔で彼を見つめた。

彼女の告白に驚いて困惑していた彼は、気持ちを落ち着かせて深く溜め息をつき、答えた。
「この世は全ては変わっていくものだ。だけど俺を信じてくれ。
 君を神様の重い罪から連れ出して、俺も罪に穢れるから。
 一緒に逝こう・・・・・・愛してる・・・・・・」
瞳を閉じたふたり。瞳の奥にはお互いの心しか見えない。
盛んに燃え上がる炎で、重なり合う影と影が複雑に揺れる。
外の雪は降り止んで、月が雪を照らし淡く白く光った。
どこからともなく鳴り響く鈴の音。ふたりはその音にさえ気づかなかった。
もう小屋の中は、紅の色・・・・・・